【技法】常歩との関係
「歩み足で愉しむ剣道」は常歩(なみあし)を基礎にした
足捌きをおこなっていると、『剣道日本』の連載に書いたの
ですが、さにあらず。
重力を活用するために、歩み足を主体とする剣道ではあり
ますが、常歩のメカニズムとは別ものなり。
連載後にご指摘いただきました。
いやはや、ご容赦下さい。
…とは言うものの、「三刀一如の修業法」を編む過程で常歩
を解説した書籍に触発されたこともあり、今も親近感を持って
おります。
…というような背景もあり、3月下旬から「歩み足を遣う剣道」
と、その修業法を編み直しております。
実践と検証が必要ですから、たぶん、2年近くの月日が必要で
はないかと。
また、どこかでご紹介する機会があればうれしいです(笑)。
足捌きをおこなっていると、『剣道日本』の連載に書いたの
ですが、さにあらず。
重力を活用するために、歩み足を主体とする剣道ではあり
ますが、常歩のメカニズムとは別ものなり。
連載後にご指摘いただきました。
いやはや、ご容赦下さい。
…とは言うものの、「三刀一如の修業法」を編む過程で常歩
を解説した書籍に触発されたこともあり、今も親近感を持って
おります。
…というような背景もあり、3月下旬から「歩み足を遣う剣道」
と、その修業法を編み直しております。
実践と検証が必要ですから、たぶん、2年近くの月日が必要で
はないかと。
また、どこかでご紹介する機会があればうれしいです(笑)。
【稽古】無常無我の理
日常生活の中で、ふと法然のことを思うことが
あります。
特に迷いが生じたときに、法然ならどのように
思考し行動するだろうかと。
私は幼少期の祖父の影響で、法然の広めた教え
――表面的な計らいを越えて慈悲を体現するために
一心に念仏せよ――が心身に宿っているようです。
迷いに満ちた思考、矛盾した行動…と我ながら
呆れるくらいの馬鹿者ですから、念仏に救われて
きたようなものです(笑)。
世界は無常なるがゆえに存続し、我もまた無常
なるがゆえに生きている…この理(ことわり)を
表現したのが南無阿弥陀仏という言葉である…、
ゆえに「無常無我の理」を心身にしみ込ませる
ように念仏すべし、念仏すれば無常であることの
ありがたさに気づき、我欲に執着せず、いきいき
と生きていけるようになる…とは、あの世に旅立
つ寸前の祖父の言葉でした。
10歳の私にわかるように易しい言葉を使ってい
ましたが、大意は上記のとおりです。
法然のことを偉人なりと敬う必要はない、かの
世で法然はそのような計らいを望んではいない…
しかし、法然ならばどのように考え行動するだろ
うか、と思い浮かべながら物事を筋目正しく理解
し行動することはよいだろう、とも付言しました。
無常無我…南無阿弥陀仏…。
私の剣道修業の根幹には「無常無我の理」が宿
っていると気づいたのは、最近のことです。
高尚高邁な話ではありません。
呼吸をするようにごく自然なこと。
あります。
特に迷いが生じたときに、法然ならどのように
思考し行動するだろうかと。
私は幼少期の祖父の影響で、法然の広めた教え
――表面的な計らいを越えて慈悲を体現するために
一心に念仏せよ――が心身に宿っているようです。
迷いに満ちた思考、矛盾した行動…と我ながら
呆れるくらいの馬鹿者ですから、念仏に救われて
きたようなものです(笑)。
世界は無常なるがゆえに存続し、我もまた無常
なるがゆえに生きている…この理(ことわり)を
表現したのが南無阿弥陀仏という言葉である…、
ゆえに「無常無我の理」を心身にしみ込ませる
ように念仏すべし、念仏すれば無常であることの
ありがたさに気づき、我欲に執着せず、いきいき
と生きていけるようになる…とは、あの世に旅立
つ寸前の祖父の言葉でした。
10歳の私にわかるように易しい言葉を使ってい
ましたが、大意は上記のとおりです。
法然のことを偉人なりと敬う必要はない、かの
世で法然はそのような計らいを望んではいない…
しかし、法然ならばどのように考え行動するだろ
うか、と思い浮かべながら物事を筋目正しく理解
し行動することはよいだろう、とも付言しました。
無常無我…南無阿弥陀仏…。
私の剣道修業の根幹には「無常無我の理」が宿
っていると気づいたのは、最近のことです。
高尚高邁な話ではありません。
呼吸をするようにごく自然なこと。
【文化】峠を越えて
子供の頃のことです。
秋の稲岡神社の祭礼など、何か行事がある
と縁者が集まって座敷で宴会をおこなってい
ました。
奥座敷の八畳間と手前の六畳間の間の襖
を外すと、20名余りが座して歓談すること
ができました。
お膳に並ぶ料理は五品あり、燗酒を入れた
二合徳利が行き交い、賑やかなりし。
明治維新前まで郷士だった縁者が多い
せいか、玄関を入る時の挨拶、酒宴の最中
の会話、そして宴が終り帰える際の御礼の
口上が独特でした。
戦国時代末期に岡山県の久米郡一帯は、
西の毛利政権と東の織田政権が激しく軍事
衝突を繰り返した激戦地でした。
小領主たちはは旧来どおり毛利方に組し
て山城で篭城戦を展開…。
雌雄を決する高城の戦では、毛利本国から
30名の銃隊も覇権されていました。
中には織田方に組した宇喜田氏に臣従し
た小領主もありましたが、美作南部はほとん
ど毛利方だったようです。
宴席の首座に座る穏やかな年寄りがありま
いた。
祖父の従兄弟で、皆が「東村の栄さん」(
ひがしむらのえいさん)と呼んでいた方です。
その先祖は戦国時代に地域の盟主であった
竹内氏に属するはが郷東村の小領主。
※竹内氏:竹内久盛(たけのうちひさもり)が
創始した竹内流小具足(…こぐそく)は有名。
久盛の次男久次(ひさつぐ)は豊臣政権下の京
に指南所を開設。
※「はが」はここでは漢字変換できません。
ご容赦を。
美作の小領主たちは、高城の戦と備前高松城
の水攻めが決着すると、次々に帰農し郷士にな
りました。
元和年間に美作森家の郡奉行配下の平侍として
仕官した者もありましたが、多くは山間の百姓と
して代を重ねます。
さて、栄さんは祖父よりひとつ年長。
ふたりは子供の頃から気が合い、徳さん、栄
さんと呼び合っていました。
栄さんの家は私の生家のある久米郡久米南町
南庄(みなみしょう)から西北に直線距離で10
キロメートルの久米郡中央町大はが東(おおはが
ひがし:旧町名)にありました。
栄さんも祖父も徒歩で峠を越えて往来してい
ました。
私が10歳の初秋。栄さんは祖父の葬儀に若い衆
と共にやってきて手伝いをしてくださいました。
遠方の親戚の方々と一泊した翌朝、東村に帰っ
っていく際、私に曰く、
「剣術…いや剣道を習ろうておるそうじゃな。
おもしろいかの。そうか、おもしろいか。
それはええのぉ。かずのり君、剣術…剣道は
心も育ててくれるけん、将来稽古ができん時期
もあるやもしれんが、時間を作ってな、稽古は
続けんさいなあ。徳さんもそれを望んでおられ
よう…」
かの峠に小さな麻利支天の石造が南面して鎮座
しています。
麻利支天は陽炎(かげろう)を神格化した古代
インド由来の神。戦いの神であり、後世には
武芸者が尊崇しました。
この峠を越えるたびに、栄さんは立ち止まり
長い間合掌していたと祖父が教えてくれたこと
がありました。
振り返る 里の稲穂や きらめいて
峠をわたる 秋風さやか (一範)
秋の稲岡神社の祭礼など、何か行事がある
と縁者が集まって座敷で宴会をおこなってい
ました。
奥座敷の八畳間と手前の六畳間の間の襖
を外すと、20名余りが座して歓談すること
ができました。
お膳に並ぶ料理は五品あり、燗酒を入れた
二合徳利が行き交い、賑やかなりし。
明治維新前まで郷士だった縁者が多い
せいか、玄関を入る時の挨拶、酒宴の最中
の会話、そして宴が終り帰える際の御礼の
口上が独特でした。
戦国時代末期に岡山県の久米郡一帯は、
西の毛利政権と東の織田政権が激しく軍事
衝突を繰り返した激戦地でした。
小領主たちはは旧来どおり毛利方に組し
て山城で篭城戦を展開…。
雌雄を決する高城の戦では、毛利本国から
30名の銃隊も覇権されていました。
中には織田方に組した宇喜田氏に臣従し
た小領主もありましたが、美作南部はほとん
ど毛利方だったようです。
宴席の首座に座る穏やかな年寄りがありま
いた。
祖父の従兄弟で、皆が「東村の栄さん」(
ひがしむらのえいさん)と呼んでいた方です。
その先祖は戦国時代に地域の盟主であった
竹内氏に属するはが郷東村の小領主。
※竹内氏:竹内久盛(たけのうちひさもり)が
創始した竹内流小具足(…こぐそく)は有名。
久盛の次男久次(ひさつぐ)は豊臣政権下の京
に指南所を開設。
※「はが」はここでは漢字変換できません。
ご容赦を。
美作の小領主たちは、高城の戦と備前高松城
の水攻めが決着すると、次々に帰農し郷士にな
りました。
元和年間に美作森家の郡奉行配下の平侍として
仕官した者もありましたが、多くは山間の百姓と
して代を重ねます。
さて、栄さんは祖父よりひとつ年長。
ふたりは子供の頃から気が合い、徳さん、栄
さんと呼び合っていました。
栄さんの家は私の生家のある久米郡久米南町
南庄(みなみしょう)から西北に直線距離で10
キロメートルの久米郡中央町大はが東(おおはが
ひがし:旧町名)にありました。
栄さんも祖父も徒歩で峠を越えて往来してい
ました。
私が10歳の初秋。栄さんは祖父の葬儀に若い衆
と共にやってきて手伝いをしてくださいました。
遠方の親戚の方々と一泊した翌朝、東村に帰っ
っていく際、私に曰く、
「剣術…いや剣道を習ろうておるそうじゃな。
おもしろいかの。そうか、おもしろいか。
それはええのぉ。かずのり君、剣術…剣道は
心も育ててくれるけん、将来稽古ができん時期
もあるやもしれんが、時間を作ってな、稽古は
続けんさいなあ。徳さんもそれを望んでおられ
よう…」
かの峠に小さな麻利支天の石造が南面して鎮座
しています。
麻利支天は陽炎(かげろう)を神格化した古代
インド由来の神。戦いの神であり、後世には
武芸者が尊崇しました。
この峠を越えるたびに、栄さんは立ち止まり
長い間合掌していたと祖父が教えてくれたこと
がありました。
振り返る 里の稲穂や きらめいて
峠をわたる 秋風さやか (一範)
【文化】型を学び、型を破り、型を編む
伝承されてきたり、新たに編み出された型―
基礎的動作の仕組み―を習得し、あらたに組み
合わせ直して、新しき型を編み出さんと試みる
ことは、剣道修業の大事だと考えます。
型の伝承を守らんとする剣術と異なり、近現代
に編み出された剣道は、剣士各位が自由自在に
編み直すことを許容すべきです。
剣術と剣道の世界が重なり合うエリアに、勝利
の本質が内在しています。
この世は無常です。
絶対に正しい型(生き方等々)など存在しません。
存在すると思うのは勝手ですが、それは妄想。
無常だからこそ、既存の知を編集し、新たな世界
を編み出し創造することができます。
マンネリ化すれば芸道は輝きを失います。
剣道は剣術から派生し新しき世界を創造しま
した。自由自在に変身することが必要です。
表面的な改造ではなく、型―基礎的動作の仕
組み―を対象にして根本的な改造を剣士各位が
試みれば、修業の質が飛躍的に高まるでしょう。
より多くの人々の心身を解放する触媒として、
剣道が新しき世界を開かんとする存在に脱皮でき
るか否か…ここは厳しくも愉しき岐路なり。
基礎的動作の仕組み―を習得し、あらたに組み
合わせ直して、新しき型を編み出さんと試みる
ことは、剣道修業の大事だと考えます。
型の伝承を守らんとする剣術と異なり、近現代
に編み出された剣道は、剣士各位が自由自在に
編み直すことを許容すべきです。
剣術と剣道の世界が重なり合うエリアに、勝利
の本質が内在しています。
この世は無常です。
絶対に正しい型(生き方等々)など存在しません。
存在すると思うのは勝手ですが、それは妄想。
無常だからこそ、既存の知を編集し、新たな世界
を編み出し創造することができます。
マンネリ化すれば芸道は輝きを失います。
剣道は剣術から派生し新しき世界を創造しま
した。自由自在に変身することが必要です。
表面的な改造ではなく、型―基礎的動作の仕
組み―を対象にして根本的な改造を剣士各位が
試みれば、修業の質が飛躍的に高まるでしょう。
より多くの人々の心身を解放する触媒として、
剣道が新しき世界を開かんとする存在に脱皮でき
るか否か…ここは厳しくも愉しき岐路なり。
【書籍】失敗の本質・・・
最近読んだ本から一冊ご紹介させてください。
『「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ』
鈴木博毅著 ダイヤモンド社発行。…新刊です。
さる書評に曰く、…日本は既存の指標からの転換が苦手だ。「失敗の本質」を
この際断つよう、本書及び原著で自己否定的学習をすべきだ…。
型(勝ちパターンのエッセンス)の習得は必要ですが、型からの脱却はそれ以上
に必要です。型に固執すれば教条主義に陥り、無常の世の変化に対応できなくなっ
てしまうでしょう。
温故知新という言葉があります。
一般的に、古きを尊びつつ新しきものを作りだす…といった意味に受け止めてら
れています。しかし、本来は既存の知識の限界を見切り、苦しくとも新しき道(仕組み)
を創造せよ、創造できなければ、敗退するのみ、という教えです。
戦略(最終的な勝利に直結する戦術のみを選択する)を正しく編まなければ、
改善(戦闘)を積み重ねても、駄目なものは駄目なのです。
小手先の改善の上手さに安住すれば、取り化返しのつかない状態に陥ります。
う~む…我が身に置き換えても納得できる…。
我が半生負け戦ばかりなり…(汗)。
運の良さで乗り切る渡世かな…(笑)。
『「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ』
鈴木博毅著 ダイヤモンド社発行。…新刊です。
さる書評に曰く、…日本は既存の指標からの転換が苦手だ。「失敗の本質」を
この際断つよう、本書及び原著で自己否定的学習をすべきだ…。
型(勝ちパターンのエッセンス)の習得は必要ですが、型からの脱却はそれ以上
に必要です。型に固執すれば教条主義に陥り、無常の世の変化に対応できなくなっ
てしまうでしょう。
温故知新という言葉があります。
一般的に、古きを尊びつつ新しきものを作りだす…といった意味に受け止めてら
れています。しかし、本来は既存の知識の限界を見切り、苦しくとも新しき道(仕組み)
を創造せよ、創造できなければ、敗退するのみ、という教えです。
戦略(最終的な勝利に直結する戦術のみを選択する)を正しく編まなければ、
改善(戦闘)を積み重ねても、駄目なものは駄目なのです。
小手先の改善の上手さに安住すれば、取り化返しのつかない状態に陥ります。
う~む…我が身に置き換えても納得できる…。
我が半生負け戦ばかりなり…(汗)。
運の良さで乗り切る渡世かな…(笑)。




